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先日やっと、中国の針屋に特注していた針が届いた。

今回は、厚生局に出した薬監証明はすぐに返信されてきたけれど、DHLの対応が少し遅かった。しかし、カスタマーセンターにメールしたら、自前の黄色いトラックで翌日に配達してくれた。通常、DHLは佐川急便に丸投げすることが多いが、どうやら急ぎの場合に限り、配送センターから直接DHLの配達員が届けるようになっているらしい。

何故か佐川は毎回のように、DHLが作った「支払確認書の金額×荷物の個数」を請求してくるのだが、DHLの配達員はちゃんと支払確認書に記された代金だけを請求した。

今回は針の製造工場が変わったせいか、納品されるまでに3か月近くかかったが、結果的には満足できる品質だった。

特に鍼の切れ味が向上しており、切皮痛がさらに軽減された。針はおおよそ半年ごとに輸入しているのだが、毎回輸入するたびに進化していて、本当に驚かされる。

この針を使えば、これまで多くの患者が最も嫌がっていた腸骨筋刺鍼時の痛みが大幅に軽減され、腸骨筋刺鍼が受け入れられやすくなるだろう。効果のある針治療は概して響きが強く、多少の痛みを伴うものだけれど、痛みが少なく最大限の効果が出せるなら、それに越したことはない。

これまでは長さ8cm以上の針を特注した場合、5~10本単位にまとめて個別包装しただけの状態で納品されていた。しかし、今回は通常品と同様、1本ずつブリスター包装されており、外箱もわざわざ特注してくれていた。

日本のメーカーに依頼した場合、即座に門前払いされるか、発注数が50000本以上でないと特注しない、というかなり強気な態度で対応されることが多い。中国のように、小ロット可、150mmまでのオーダー可、外箱や個別ブリスターパックの製作可、EOG滅菌済での納品可で、良心的な価格で特注してくれるメーカーは、今のところ存在しないだろうと思う。

また中国では、上客になると10000本程度から特注してくれるし、工場が登録しているデータ上に存在する型番であれば、基本的にはどんなサイズの針でも特注してくれる。

例えば腸骨筋へ刺鍼する場合、90~130mm程度の長さの針が必要だが、今回の工場が扱う130mm前後の型番は125mmか150mmのみだから、125mmで特注してもらうことになる。もちろん、工場によって登録している型番のデータが異なるから、130mmで特注してくれる場合もある。

ちなみに、コ〇ナの影響で自宅に引きこもり、座ってばかりで運動しない人が増えたせいか、腸骨筋由来のぎっくり腰が増えている。

腸骨筋は、位置的に腰痛と関係ないと考える人が多いが、実際には腸骨筋の慢性的な異常収縮によって、毎年何度もぎっくり腰を起こすような人が少なくない。

基本的に、ぎっくり的な状態はすべての骨格筋で起こり得るが、いわゆるぎっくり腰の場合、当院に限って言えば、最も多いのは腸骨筋のぎっくりだ。

腸骨筋がぎっくりを起こした場合、腰を後ろに反らせなくなったり、腰の奥や仙腸関節付近に痛みが出たり、鼠径部や中間広筋上部付近に違和感が出るのが特徴だ。多くの場合、咳による響くような痛みはみられないが、腰の奥に痛みを感じるから、大半の患者は腰へ刺鍼してくれと訴えるし、実際に、腰や下肢ばかりに刺鍼する鍼灸師も少なくない。

大腰筋の場合は横隔膜の影響で、咳をした時に腰痛が出る。大腰筋がぎっくりを起こした場合、内側の筋繊維が硬くなっていることが多く、ここへ0.25mm程度の太さの針を数本、適切に刺鍼して30分程度留針すれば、術後すぐに動けるようになる。大腰筋は慢性的な炎症を繰り返した場合、上部が瘢痕化しやすく、特に第三腰椎横突起外側付近に硬さが出やすい。この場合、細い針では針が入って行かない。

多裂筋の場合は咳をしても痛みが出にくいが、笑った時に痛むことがあり、圧痛が顕著で、浅い部分に痛みを感じ、特に後屈で痛みが増悪する。ずっと座っていられない。多裂筋は、慢性的な収縮により仙骨付近の筋繊維を損傷しやすく、瘢痕化しているケースも少なくない。この場合、適切な針でうまく刺鍼しないと、痛みがすぐにぶり返すことが多い。

腰方形筋のぎっくりは、テニスやゴルフをしている時に起こりやすく、腰を側屈した時や捻転した時に痛みが出て、明らかな圧痛がある。腰の片側のみに痛みが出やすく、患側の中殿筋や大殿筋上部を同時に痛めていることが多い。

腸骨筋は基本的に、咳による痛みは出にくいが、稀に咳による痛みを伴うことがある。また腸骨筋は、背側部分に付着している筋繊維に強い収縮が起こりやすく、適切な針で刺鍼しないと効果が出にくい。

腸骨筋刺鍼が成功した場合、直後に大腿前面や内側に得気が出たり、大腿上部が一時的な痙攣を起こす。しかし30分ほど留針すると、極度に腰が曲がった状態で来院した患者であっても、1回の施術で腰を伸ばして、何事もなかったかのように帰ることができる。それゆえ、「これは魔法じゃなかろうか!」とか、「先生はゴッドハンドだ!」などと叫ばれることがある。