ここ数年、日本列島ではスーパー台風や集中豪雨、土砂災害、河川の氾濫、火山の噴火、地震などが頻発している。

ウェブ上には、南海トラフ地震や首都直下型地震、富士山噴火がいついつに起こるというような怪しい「予言」があふれ、早急に備えておくことが必要であると説いている。

今年の3月には政府の中央防災会議が、富士山噴火を見据えた防災計画を定めるよう各自治体に提言している。

日本列島付近の火山はここ数年で活動期に突入したとの話もあるし、すでに死火山という定義が無くなったことを証明するかのように、これまで死火山とか休火山であると考えられていた山が突如として雄叫びを上げるような事例も、チラホラ出てきている。

自然災害の危険性が世界一高いと称される日本において最も恐ろしいことは、大噴火や大地震津波、河川の氾濫、スーパー台風の上陸、土砂崩れなどが、同時多発的に発生することだ。

近年の様子を鑑みると、近い将来、何らかの自然災害が同地域で立て続けに発生する可能性は、十分にあり得る。それゆえ、国民各人が日頃から最悪のケースを見据え、防災意識を高め、可能な限りの備えをしておくことが必要だろうと思う。

2003年にミュンヘン再保険会社(Munich Re Group)が公表した“A NATURAL HAZARD INDEX FOR MEGACITIES”(「大都市の自然災害危険度指数」)によれば、ロサンゼルスのリスク指数を100とした場合、北京は15、パリは25、ロンドンは30、香港は41、ニューヨークは42、大阪・神戸・京都は92、サンフランシスコは167、東京・横浜は710となっている。

サンフランシスコには、サンアンドレアス断層(San Andreas Fault)と呼ばれる全長約1300kmほどの巨大な活断層が存在するが、リスク指数が東京・横浜に比べて格段に低い大きな要因としては、活断層上および活断層付近への構造物の建設が法律で禁止されていることがあるだろう。

日本列島は北米プレート、太平洋プレート、ユーラシアプレートフィリピン海プレートと呼ばれる4つのプレートがせめぎ合って形成されている、世界でも類を見ない地震多発区域だ。その上、活火山や原発津波のリスクもあるから、日本国内で安全な土地を探し出すのは、容易なことではない。

ミュンヘン再保険会社がこのデータを公表してから既に20年近く経つけれど、近年の異常気象に加え、様々なモノや人の一極集中が未だ収まりを見せず、コロナ騒動でやる気のなさを露呈させたアへ政権に翻弄され続けている東京においては、現在のリスク指数はさらに跳ね上がっているのではないかと推察される。

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東北大地震福島原発の事故を目の当たりにして以来、なるべく安全な土地へ引っ越したい、という思いは日に日に増している。しかしながら、まだ東京でやらねばならぬことが沢山あるから、もうしばらくは世界最高にリスキーなこの土地で、何とか無事にやり過ごさねばならない。

私は常々、針灸を業とするのであれば、なるべく自然災害のリスクが少ない土地に鍼灸院を構え、患者が安心して治療を受けることができるような環境を提供すべきだろう、と考えている。

何故なら災害大国日本においては、たとえ30分といえども、百数十本もの針を体に刺したまま放置しておくというのは、相当にリスキーなことであるからだ。

外科医が感染のリスクを恐れて手術中の処置を可能な限り急ぐように、針治療においても自然災害のリスクを避けるため、処置時間は早ければ早いほど良い。もちろん、十分な効果を得ることができる、最低限の留針時間は設けなくてはならない。

ここ数年、短時間で効果的な針治療を、如何にして実現するかを試行錯誤してきたわけだけれど、現状では従来の半分くらいの施術時間に抑えるのが限界だ。

鍼を打つスピード、針を抜くスピード、刺鍼の正確性は10年前と比べ、相当に向上していると思うけれど、それでも1人あたり、1回の施術で80~130本くらいは打つから、針を打つだけで最低でも15~20分くらいはかかる。留針時間は刃先の進化によって大幅に減らすことが可能となり、従来は35分程度の留針が必要だった病態でも、速抜または10~20分程度の留針でかなりの効果を上げることが可能になった。

施術時間の短縮は、より多くの患者を診ることが可能になる、という大きなメリットがある。得気を重視した効果的な鍼治療というものは、患者が重症であればあるほど施術に時間がかかるものだけれど、1人の鍼灸師が生涯診ることができる患者数には限りがあるから、1人あたりの施術時間を如何にして減らすか、ということは非常に重要であると考えている。仮に、1時間かかっていた施術を30分で済ませることができたとすれば、単純計算でも、従来に比べて2倍近くの患者を受け入れることが可能になるかもしれない。

また、施術時間の短縮は、刺鍼痛に伴う患者の肉体的、精神的負担を軽減させることが可能になるし、タイムイズマネーであると考えるのであれば、施術時間を節約することで患者個人の経済活動を促し、さらには社会全体の生産性をも向上させる可能性がある。

実際に、日本の多くの病院での待ち時間の長さは、首都高速の渋滞同様、毎年莫大な経済的損失を生み出しているように思われる。「必要な治療を短時間で済ませることができたならば、どれほど良いことか」と考えている患者は、少なくないだろうと思う。

もちろん、先に述べたように、施術時間を如何に少なくするかということは、予期せず起こり得る自然災害に備える、という点においても重要だ。現状では、例えば軽度の頭痛や腰痛の治療であれば、使用する針の種類によっては、刺針、留針、抜針、すべての工程を含め、30分程度で終了させることが可能になった。

これまでは、どんな病態であっても、すべての工程をこなすためには1時間程度要したから、それが半分の時間で済み、同じような効果を享受できるのであれば、施術者にとっても、患者にとっても、メリットは大きいだろう。まさに双赢な関係だ。

とにかく、なるべく安全な場所で針を打ちたいと常々考えているわけだが、様々なリスクを抱えた日本列島では、どこにいても、いつ何時自然災害を被る可能性があるかなんて、わかったもんじゃない。

現在鍼灸院を構えている三鷹市付近は、都内でも比較的標高が高く、河川の氾濫や津波の心配がほとんどないし、ローム層の上に位置するから比較的安心感があるけれど、立川断層や東京湾沿岸を震源とする大地震が発生した場合、どの程度の被害が出るかわかならいから、安心はできない。

東京の地質、地形、基礎工学的な話に関しては、東京都地質調査業協会のまとめた「技術ノート」にわかりやすく記されている。東京は、もはや色んな意味で臨界点に達している。可能であれば、東京以外の都市へ脱出するのがベターであると思うけれど、どうしても東京から離れられない場合などは、このウェブサイトの資料にくまなく眼を通し、どこに住むべきかを考えるのも良いかもしれない。ちなみに、日本列島の地形に関して言えば、活火山と活断層をテーマにした『活火山 活断層 赤色立体地図でみる日本の凸凹(技術評論社)』も、非常に学ぶところが多い。