エビは、中国語では、「虾(蝦)xiā」と記す。エビは茹でると朝焼けのように紅くなることから、「霞xiá(朝焼け、夕焼け)」の諧音である、「虾(蝦)xiā」の文字が使われるようになったと言われている。

 

本草綱目においては、エビは「蝦」と「海蝦(紅蝦)」の項目で大別されているが、蝦は体色によって青蝦と白蝦、生息地によって泥蝦と海蝦などとも分類される。また、梅雨時期に収穫されるものは梅蝦、質の良いものは米蝦、質の悪いものは糠蝦と称され、薬としての用法が細分化されている。

 

エビの性質は「甘、温、微毒」である。主治は、湿熱または風邪(ふうじゃ)に起因する、小児の遊走性紅斑とされ、李時珍は、すり潰したエビを患部に塗布する治療法を記している。また、気血虚弱に起因する水痘にはエビのスープを、風邪(ふうじゃ)と痰湿に起因する病にはエビを煮詰めた汁を、悪性の腫れものにはエビをすり潰して膏薬にしたものを塗布する。

 

ユダヤ教徒は、甲殻類や、地を這う生物は食さないと言われている。その真の理由は経典に依るものなのか否かは不明であるが、おそらく、その生物の醜さや、彼らの住まう海底や地面には、ゴミや塵、重金属などが多く堆積していることなどが、忌むべき対象として、影響しているのかもしれない。

 

日本では、エビやカニは食物アレルギーの原因となり得る生物として、特定原材料の表示義務がある。当然、どの食物にも長短はあるが、薬として用いられる生物、植物は、共にその毒性に依るケースが少なくない。それゆえ、エビに関しても、用法や用量に注意して、慎重に用いる必要がある。