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先日、目黒と表参道へ行った。目黒はこびと(嫁)が好きないちごのパフェで有名な店があるとかで、どうせならブログのネタに実際のパフェがどんなもんか試してみようということになった。表参道はアッ〇ルの新作スマホを実際に見るためだった。 

目黒と言えば、芸能人やらセレブリティらが大勢住んでいるという中目黒付近が有名だ。目黒駅には初めて降り立ったものの、凡庸な東京のJR駅という雰囲気ゆえか、特に感動は無かった。 

カフェへ行く前に昼飯を食べておこうということになった。駅前を見回してみたが、あまり目ぼしい店がなかった。仕方がないので駅前からほど近い、某中華料理屋へ入ることにした。雑居ビルの2階にある店で、念のため客入り状況を確かめてやろうと外から眺めると、13時過ぎにも関わらず窓側の席が半分くらい埋まっているように見えたので、入ってみることにした。 

店へ上がるまでの階段の壁面には、芸能人とこの店の経営者らしき初老男性が写った写真が20枚くらい貼られていた。これは大都会東京に初めて訪れたカッペ人に対しては、それなりの権威付けになるだろうな、と思った。しかしテレビを観たことがない人にとっては、何の効果もない写真でしかないだろうな、とも思った。こういうモノを見慣れた人間にとっては、むしろ胡散臭いだけで、逆効果になるのかもしれない。 

誇らしげな写真を横目に2階へ上がり、純喫茶風かつ古びたドアを手前に引くと、奥から小走りで、中国人らしき女性店員が出てきた。外から見て想像していたよりも客入りが少なかった。多くの人間は無意識に窓側の席へ座る傾向にあり、外から見て混んでいると思い込んだのは甘かった、と今更ながらに気が付いた。店員に壁際の奥のテーブル席へ案内された。 

テーブルの端に立てかけられていたメニューを広げ、適当に注文することにした。店のおすすめは焼き餃子と別刷りのランチメニューらしかったが、ランチメニューはどれもチャーハンとラーメンのセットばかりで量が多そうだったから、単品で注文することにした。とりあえず、回鍋肉、春巻き、焼き餃子、ライス2つを注文した。中国人店員の日本語があまり上手くなかったから、念のため日本語でしゃべったあと、「来两碗米饭」と言った。単品のライスはメニューに載っていなかったから、店員が「ライス」を「某国の元国務長官」や「荔枝(ライチ)」などと勘違いしないよう、親切心から中国語を使っておいた。 

少し離れた窓側の席には、降谷建志を安っぽくしたような常連風の若い男が座っていた。彼は独りでランチメニューを食べていたが、いかにも目黒人的なオサレな雰囲気を醸し出していた。 

こびとがトイレへ行っている間に、回鍋肉とライスが運ばれてきた。オーダーしてから3分くらいしか経っていなかったから、余程ヒマなのだろうな、と思った。ホールには中国人らしき中年女性店員が3人立っていたが、みな団子になってペチャクチャとおしゃべりしていた。中国人女性はとにかくヒマがあればずっと喋っていることが多い。 

「中華料理は出てくるのが早いからいいね」などと少量の回鍋肉をつつきながらこびとと会話していると、餃子と春巻きが運ばれてきた。しかし運ばれてきた春巻きを見て、箸の動きが止まった。

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小さな皿の上には半分にカットされた春巻きが3つ載っていたが、そのうちの2つが揚げすぎゆえか、焦げて爆発していた。中国でこんな春巻きを客に出したら、客はきっとキレて暴れ出すか、金を払わずに出て行くに違いない。日本人は大人しいと思ってナメているのだろうな、と思った。 

こびとがクレームを言ったらどうかと言ったが、こんな店には2度と来ないだろうし、クレームを言って改善されるのも癪に障るから、放置しておくことにした。基本的にクレームというものは、改善の余地がありそうだったり、社会に貢献して頑張っているが何となくミスってしまった、というような店や会社に言うべきであって、そうでない輩には言うだけ労力の無駄である、と私は考えている。要するにクレームを述べたところで何も変わりゃあしないだろうし、怒ると体に悪いから、放置しておくことにした。さりげなく厨房へ目をやると、やる気のなさそうな私服姿の厨师男が見えた。どうみても「不愧是大厨」という風貌ではなかった。きっとこの分だと皿の上に載っているパセリは使い回しかもしれないな、と思った。 

結局、この店の招牌菜(名物料理)だという焼き餃子も大して美味くなかったから、パッと食べてサッと金を払い、潔く店を出ることにした。北京では外食で残念な思いをすることは稀だが、日本では特に中華料理に関しては、ガッカリさせられることが多い。本場中国の美味しい料理を知らぬ人が多いからなのかもしれない。 

口直しに、早速話題のカフェへ行くことにした。カフェは中華料理屋の入っているビルから歩いて数分の場所にあるはずだった。事前にGoogle Mapで調べておいたが、何となくジョナサンのある逆方向に行ってしまって、時間を無駄にした。 

目黒通りを西へ戻ると、すぐにカフェが見えた。カフェは2階にあったが、すでに10人くらい行列していた。ちょっと待ってみようかとも考えたが、ラーメン屋のような回転速度は望めぬし、目黒マダムがのんびりとパフェを喰らっているのを待つのも耐えられぬので、並ぶのは止めにした。きっと、芸能人がステマ的にインスタグラムなどで苺パフェなどをアップしているがゆえに、平日にも関わらずアホみたいに混んでいるのだろうな、と思った。それに、こんなにも沢山人が並んでいたら、落ち着いて食えたものじゃあない。

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とりあえず散歩がてら、恵比寿駅まで歩くことにした。目黒通りからだと、距離にして大体1.5キロくらいである。平地なら大した距離ではないけれど、目黒から渋谷付近は今でも太古の名残で谷のようになっている場所が多く、坂道ばかりで少し遠く感じた。 

恵比寿ガーデンプレイスの入口あたりまで辿り着くと、山手線の上にかかる橋で信号待ちをしている白いラン〇ルギーニガヤルドが見えた。信号が青に変わるや否や、そのスーパーカーはゼロヨンの如き凄まじいスタートを切って、通りを駆け抜けていった。こんなに狭く人通りが多い通りを暴走する輩はどんな人相をしているのだろうかと思い、車の方向を見た。 

すれ違う瞬間に、窓を全開にした運転席に座っている、成金風の中年男性が見えた。男は非常に激しい形相をしていた。こんな寒い日に窓を全開にしていたのは、きっと窓のレギュレーターの破損か、単なる虚栄のどちらかだろうと考えたが、男の顔と身なりから察するに、後者であろうと思った。元来、激しい人相の者は気性が荒く、激しく事故ったりするものだが、歩行者を巻き込むような事故を起こされたらたまったものではない。 

恵比寿駅からは山手線に乗り、原宿へ向かうことにした。目的は表参道にあるアップ〇ストアだった。原宿駅を出て表参道へ向かって歩いていると、MA-1と呼ばれるフライトジャケットもどきを着ている女の子と、次から次にすれ違った。そもそもMA-1やらN3-Bなんぞは、私が中学生の頃に大ブームになったジャケットだ。当時は上野の中田商店で上質なフライトジャケットを買って着ることが男子学生どもの密かな望みであった。しかし実際にそれを着ることが出来たのは、数人の地主ボンボン息子くらいであって、ほとんどの男子は高校生になってから、アルバイトで貯めた金を握りしめて上野へ向かったものだ。日本ではおおよそ20~30年くらいで同様のブームが巡り巡って来るといわれているが、確かに最近流行り出したNIRVANAジャックパーセル、MA-1なんぞは、すべて1990年代に流行したものだ。ブームなんてものは意図的に操作されているようなもんだろうから、個人的には関心がない。 

しばらく歩いていると、こびとが急にアッと叫んだ。どうやら3時間ほど前に、仙川駅のホームで隣に立っていたジャイ子風の女が、正面から歩いてきているらしかった。すれ違う瞬間に女の顔を見たが、確かに同じ時間の同じ車両に乗った女だった。日中は1500万人程度の人が集まる大東京で、意図せずして赤の他人と同じ時間に同じ空間を共有したということに、背筋にヒヤリとしたモノを感じた。 

まぁ、案外気が付いていないだけで、そういう瞬間は多いのかもしれない。人間はある種の巨大なシュミレーション上を神の如き存在によって操られているだけだ、などというオカルティックな話もあるが、凡人の知れたことではないし、もしそうであってもどうにかなる話ではないから、どうでもよい。 

人と人が出逢う確率はどんなもんだろうかなどと考えながら、再び表参道を歩いていると、再びこびとが後ろを見やり、アッと叫んだ。今度は何事かと思って素早く後ろを振り向くと、異様な雰囲気を発露させながら、ピロピロとリコーダーを吹き鳴らし歩く男の後ろ姿が見えた。どうやら、メディアなどで「リコーダーの妖精」などと呼ばれている男とすれ違ったらしかった。私は今しがた神の存在やら、人間が出逢う確率やらについて壮大な思索にふけって歩いていたもんだから、コナンドイルがまんまと騙された「The Case of the Cottingley Fairies」を彷彿とさせる妖精男が表参道を闊歩しているという驚異的事実を目の当たりにしても、全く気が付かなかったのだった。 

表参道はまるで正月かの如き人出で、うんざりするほどだった。平日の昼間にここを歩けるのは暇を持て余している学生か中高年、または自由業かナ〇ポか、はたまた私のような自営業か平日休みのサービス業、観光で来日している外国人くらいだろうな、と想像した。こんなにも多くの群衆に紛れて歩いていると、それだけで疲労感が募ってゆく感じがした。確かに北京や上海にも沢山の人が集まっているが、何せ中国は長城を本州の10倍以上の長さに張り巡らせられるほど広いから、人ごみを歩いていてもそんなにストレスを感じない。 

アッ〇ルストアには初めて入った。アッ〇ルの看板商品であるア〇フォンは、いわゆる大手キャリアを利用していたがゆえに惰性で使い始めていたのだけれど、他のスマホに移行するのは面倒であったし、iosが最高であると何となく盲信していたもんだから、壊れかけている5sよりも高性能なSEが実際どんなもんか確かめてみようと思い、わざわざ歩きたくもない表参道に来たのであった。 

入店するとすぐに、店頭にいた店員が親しげに話しかけてきた。見た目は黒人のようであったが、中々流暢な日本語を話していたことに違和感を感じた。店内にはかなりの数の客がいたが、青いシャツを着た店員も沢山いて、その多くは日本人ではないように見えた。何となく地下にも降りてみたが、どうも「Pink Flamingos」のような世界観に耐えられず、すぐに地上階へ戻ってしまった。 

しかし、暇そうにしている店員がなんと多いことかと驚いた。平日にも関わらずこんなに多くの店員がいるのに、ストアに電話した時なぜあんなに待たされたのだろうか、と考えた。都内のどの店舗に電話しても、常に「3人待ちです」と言われて、10分以上待たされたのだった。まぁ、単純に電話回線が少ないのかもしれない。 

そうは言っても、暇を持て余しているような店員に人件費を使うくらいなら、電話回線を増やして電話対応の流れをスムーズにしたら良かろうと考えた。それに、もう少し店舗の規模を小さくしたり、1日に入るべきスタッフの数を減らすなど、コストの見直しを徹底出来そうに見えたし、そうすれば今よりももっと商品価格を下げることが可能であるだろうなどと考えた。実際のところ、この企業が顧客の利益をどの程度考えているのかを知る由はないが、実際に店舗を訪れてみて、正直幻滅した。 

確かにアイ〇ォンは処理速度が速くて使いやすいけれども、内容的に考えたら現在の価格の半値または3割引きくらいの値段が妥当ではなかろうか。ブランディングに金をかけすぎて商品価格を上げざるを得ないのか、会社がより多くの利益を望んでいるのかわからぬが、低価格で良質な中華スマホの存在を知ってしまうと、ここで大金を落とすことが何となくアホらしくなってしまった。 

1階ではノートパソコンにも触れてみたが、タブのボタンが左にあるなど、どうも日常的に右脳を使う割合が高い左利き人でないと使いにくそうな仕様であったから、ウィン〇ウズがマルウウェア的に個人情報を抜き取ろうとも、やはりウィン〇ウズの方が使いやすいし、自分には合っているなと思った。結局、スマホは買わずに店を出た。 

その後、HUAWEIのスマホを買った。中華製であることや、アンドロイドの脆弱性を憂慮して今後もアッ〇ル一筋でゆくつもりだったけれど、結論から言えばHUAWEIにして良かった。HUAWEIを使わなければ、きっとアッ〇ルの短所にも、長所にも気が付かなかっただろう。アイ〇ォンはキーボード上で中文変換が可能だったのがとても良かったが、SDカードが使えるHUAWEIの方がメリットを多く感じる。 

そういえば、ア〇クラウドのストレージ容量を有料で増やすのは簡単だったが、無料の5Gにダウングレードしようとすると、最後に「完了ボタン」が押せないという悪質な仕様になっていたのには憤慨した。わざわざコールセンターに電話して、本人確認のちにPINコードを取得したり、2ファクタ認証をせねばならぬなど、企業の本心を垣間見た気がした。