疫学:血管性頭痛症候群の1種。女性に多い。思春期に発病し、月経周期と関係することが多い。片側性、反復性、拍動性の頭痛で、眼の症状やうつ状態と併発することがある。前駆症状の有無は患者によって一定せず、空腹時に痛みが出るケースもある。40%程度の患者は両側性に痛む。閃輝暗点が前兆として出ることが多く、動くと痛みが憎悪、悪心嘔吐を伴うこともある。一般的に数時間程度持続し、2日以上続くこともある。
原因:不明。主に血管説と神経説がある。血管説では脳血管の収縮によって閃輝暗点が起こり、その後、血流が増加する時に偏頭痛が引き起こされるとする。しかし、実際には血管が収縮していても偏頭痛は起こり、頭痛が発生したのちに血管が拡張することもある。神経説では後頭葉から脳機能が低下したのちに血流量が低下して偏頭痛が引き起こされるとしているが、頭痛発生時の血管拡張を説明できない。頭痛外来では脳血管の収縮に関与する5-HT1受容体に選択的に作用するトリプタン製剤が用いられることがある。一般的に、偏頭痛患者には常に心的緊張が見られ、そのストレス後の反動として、リバウンド的に血管拡張が拡張して頭痛が起こる。
注意点:椎骨動脈解離やクモ膜下出血、一過性脳虚血発作(TIA)などとの鑑別が重要である。椎骨動脈解離は首を急に捻った時などにも起こることがあり、クモ膜下出血と一過性脳虚血発作はいつ何時起こるかわからない。しかし、それまで頭痛を感じたことがないのに、後頭部や後頚部に強い痛みが生じた場合はすぐに病院で受診する必要がある。一般的に、一過性脳虚血発作が起こってから48時間以内に脳梗塞を発症しやすいと言われている。
一般的な治療法:基本的に病院での治療は薬物療法が主となり、急性期治療(頓挫療法)と予防療法の2種類がある。急性期治療では頭痛発生後、すぐに薬を飲む方法が主となり、スマトリプタンなどのトリプタン製剤を使用することが多い。痛みが軽度の場合はアスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs)やアセトアミノフェンが用いられる。予防療法では頭痛が出る前に予め薬を飲んで痛みに備える。しかし、頭痛薬を過剰摂取した場合、痛みが増したり、慢性化する薬物乱用頭痛(MOH)が併発することがある。
当院の治療法: 当院では、ほとんどの慢性頭痛は頭部や頸部、顎周囲の筋肉のコリが根因にあると考えています。そのため、偏頭痛、群発性頭痛、筋緊張型頭痛、血管拡張性頭痛など、診断名が異なっても基本的な治療法は同じです。偏頭痛は群発頭痛と同様、慢性的な食いしばりによって顎関節症を併発していることが多いため、仰臥位で顎周囲と側頭筋など頭部への刺鍼と同時に、伏臥位で後頚部、背上部への刺鍼、2コマ1セットで治療してゆきます。顎関節症(食いしばり、歯ぎしり)がある場合は斜角筋や胸鎖乳突筋が収縮したり、交感神経が優位になって、自律神経に異常を来すことがあります。基本的には仰臥位と伏臥位の治療日を分けた方が、刺鍼後のダメージが少なく、回復効率が良いようです。西洋医学的な治療においては、血流のコントロールと神経の興奮を治めることに主眼が置かれていますが、血流が悪化するのも、神経が興奮するのも、すべては筋肉が凝って物理的に血管と神経を圧迫していることが原因にあると推察されます。例えば、後頸部へ刺鍼すると、軸索反射と創傷治癒の効果によって、刺鍼部とその周囲の血流が改善し、頭痛が軽減するか全く出ない状態になります。それまで、どんな治療をしても治らなかった頭痛であっても、軽度であれば1~5回程度の施術で完治することも珍しくありません。基本的に、筋肉にコリがなく、柔軟性が保たれていれば、血管が圧迫される程度は低く、血流はスムーズで、神経の伝導も正常であるはずです。しかし、首のコリが重度になると、体幹部から頭部への唯一の経路である首で血管が圧迫され、脳への血流量が減少し、神経も圧迫されて交感神経が優位になります。また、首の血管が圧迫されれば、脳へ送られる酸素が減り、不要な老廃物の回収も滞ります。そうなると、最悪は脳死となります。そのため、脳は生命を維持するため、無意識のうちに強制的に血管を拡張させ、脳への血流量を確保しようといわば緊急事態宣言を発令します。おそらく、この過程で交感神経が優位となり、血管の炎症で閃輝暗点が出たり、その他の神経症状が発現するのだと推察されます。しかし、この緊急事態宣言は生体の状態によっては、かなり逼迫した状況下で発動されますから、血流量の調節が上手くゆかず、血管がはち切れんばかりの血液を脳内に送り込もうと必死になるケースがあるかもしれません。そうなると、血流が増すほど神経が強く圧迫され、頭部で感じられる痛みも増加します。動くと痛みが増すのは、動作時に血流が増加するからでしょう。基本的には、何らかの精神的、肉体的ストレスが先にあり、その結果筋肉が緊張し、同時に血管が収縮し、血流量が低下し、この時点で閃輝暗点が出る人は出ます。その後、脳が血流量を確保するため、強制的に血管を拡張させ、血流量の急激な増大によって頭部周囲の神経が圧迫され、痛みが出るのだと推察されます。このような観点で考えると、薬物乱用頭痛(MOH)も説明できます。つまり、医学的には血管の拡張が頭痛の原因であると考えるため、血管を収縮させるような薬を使うわけですが、常時血管が収縮していると、脳が正常に機能しなくなる可能性があるため、脳は薬の作用に拮抗するように、リバウンド的に血管を拡張させようとします。つまり、常習的に薬物が血管の収縮と弛緩を代償していると、本来、身体に備わっている機能が衰え、血管の働きに異常がでるようになります。そうなると、常に頭痛が出るという悪循環、薬物乱用頭痛(MOH)に突入してしまうわけです。実際、カフェインが含まれている頭痛薬やコーヒーなどの過剰摂取によっても、偏頭痛や薬物乱用頭痛(MOH)が出やすくなるようです。したがって、薬物の過剰摂取などによって慢性頭痛が重度な場合は、当院での治療と並行して、薬物を少しずつ減らしてゆく必要があります。ちなみに、群発頭痛と同様、鍼治療後に血流が改善すると、一時的にダウンタイム的反応として、中程度の頭痛が出ることがあります。

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