木枕は昭和期に流行した西式健康法で考案された枕です。しかし実際には枕とは言っても頭にあてがう枕ではなく、首に当てて首のコリをほぐしたり、頸椎の矯正を補助するための首枕です。ゆえに頭に当てたら全く効果は見込めませんので、ご注意下さい。
 
メーカーによっては硬枕とか、桐枕などと呼んだりします。私は10年以上前から木枕の存在を知っていて、実際に自分でも使っていたわけですが、とにかく木枕で寝ると安眠出来ないし、体が痛くなるしで、しばらく木枕は使わずに放置していました。
 
しかし、ここ1年くらい前から何気なく木枕を使うようになり、就寝時ではなく覚醒時に一時使用する方が効果があることを発見したのでした。つまり、1日2回程度と予め時間を決めておいて、短時間使用にした方が首肩こり、頭痛が軽減しやすいということがわかったのです。それまで私は半年に1回くらいは自分で自分の首に鍼を打たないとやれないくらいでしたが、木枕を毎日使うようになってからは、ほとんど鍼を打たずともやり過ごせるようになりました。私は仕事柄、長時間にわたって下を向いたり指を使っているので(指を使うと頸部の筋肉がわずかながら収縮します)、首が痛くなりやすかったのです。
 
そこで、難治性の患者さんに鍼治療と並行して木枕を使ってもらったら良くなるのではないかと思い、患者さんに木枕をネットで購入してもらい、使い方を指導してみました。その患者さんは重度の慢性頭痛をもっていて、鍼をしても中々変化が出ないレアケースだったのですが、なんと木枕を使ってもらって数日すると、全く頭痛が出ないようになったとの報告があり、これは他の患者さんにも使ってもらって本格的に効果を調査してみるか、という感じになりました。今のところ、頚椎症や慢性頭痛、首肩こり、難聴、耳鳴り、耳閉感、メニエール病、眼精疲労、ムチ打ち症、筋筋膜性疼痛症候群など100人くらいの患者さんに使ってもらっていますが、みな経過は良いようです。今までみてきた感じでは、鍼治療単独よりも、木枕と鍼治療を併用した方が明らかに治りが早く、予後も良好です。特に遠方から来院する患者さんにおいては鍼治療をする頻度が減る可能性があるので、なるべく初診時から木枕を使ってもらうようにすすめています。ちなみに、木枕は頸椎の亜脱臼矯正や、頸椎の前湾維持にも影響があると思われるため、うまく長期間使用することで、より良い変化を期待出来るのではないかと考えています。
 
木枕をおおよそ3~6か月続けて使っていると、使っていなかった頃に比べて明らかな効果を実感出来ると思います。あまり首が硬い場合は、しばらくは鍼治療を続けながら木枕を使わないと良い効果は望めませんから、木枕だけで効果が実感出来ない人は当院へ根気よく通ってみて下さい。当院の鍼治療である程度筋肉がゆるんでくれば、日常的に木枕を使用しているだけで良い状態は維持できますから、その後は鍼治療をする頻度が減ったり、鍼治療が不要になります。
 

ちなみに、先日(2014年9月)、新潟県の某NPO団体が赤ちゃんへマッサージして死亡させる事件がありましたが、最近の無資格者による頸椎へのマッサージや整体などは非常に危険が伴う場合が多いですから、注意しましょう。実際に、消費者生活センターには無資格者による事故など、1000件以上の苦情があったと最近公表されていました。上記の事件の加害者として逮捕された代表の女性はワイドショーのインタビューで「(私は)医学的な知識がありません」などと恐るべき発言をしていたようですが、世の中には彼女のように危うい輩は数多存在しているようですので、自衛するしかありません。こういった無資格者によるマッサージ、整体などに関する事故はその加害者ばかりが責められる風潮にありますが、実際には長きに渡って未だ無資格者の営業を放置している厚生労働省、国にも問題があります。マッサージを受けたければ、あん摩・指圧・マッサージ師の国家資格を持った人に施術してもらうのが賢明です。首をゴキゴキしたりする整体やカイロプラクティックは国家資格を有していない者が行っている場合が多いようです。

木枕の使用法

*首に異常感がある場合は、まずは医師の診断を仰いで下さい。木枕で全ての症状を改善出来るわけではありません。
*持病に重度の頚椎症やストレートネック、頸椎ヘルニアなどがある場合は、医師の判断を仰いだ上で使用して下さい。
*就寝時は、硬すぎる寝床は背を痛める可能性があるため、適度に柔らかいマットレスなどを使用してください。
 
1.木枕の高さは6cm程度が良いです(木枕を首に当てて仰向けに寝た時、背中と後頭部が床につくかつかぬかぐらいの高さ)。西式では「自分の薬指の長さと同じ高さの木枕を使え」としていますが、余程上背部の厚みがあるとか、後頭骨が高くない限りは、6cm(大丸製だとSS、小小サイズ)の高さのものが適合する人が多いです。
2.使用時はなるべく木枕の湾曲を、頸部の正常な湾曲に合わせて下さい(頸椎の3、4番目が木枕の頂点に当たるくらいが基本)。木枕を首上部に当てすぎないで下さい。慣れてきたら木枕の位置を上下へ微妙にずらしたり、首を軽く左右に振ったりして筋肉を心地良い程度に刺激するのも良いです(数分とし、強く刺激しすぎないこと)。
3.木枕の使用は1日1~3回、毎次1分程度とし、使用後に心地良さが残る程度で止めて下さい。使用後にめまいが出たり、首が痛くなったり、気分が悪くなるまで無理に長時間使用することは避けて下さい。また、首に鍼をした当日、12時間程度は木枕の使用を避けて下さい。木枕は枕元に常備しておき、就寝前と起床後に使用するのが良いでしょう。特に起床後の使用は木枕の効果を実感しやすいですが、木枕を当てたまま寝ないようにして下さい。また、就寝前と起床後には適度に水分摂取して下さい。基本的には白湯が良いです。
4.初心者は木枕の痛さに無理をせず、木枕の上にタオルなどを敷いて痛みを緩和したり、数分間の使用にとどめて下さい。また、慣れてきたとしても、頸椎に強度の刺激を与えないよう十分注意して使用して下さい。
5.木枕は畳やカーペットの上など、全身が沈み込みにくいなるべく平坦な場所で使用する方が良いです。

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