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中医経典の1つである『针灸大成(針灸大成)』には、“病滞则久留针(病が長引くのであれば、針を長時間留める)”、と記されている。

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つまり、すでに古代中国では、一定時間の留針(置鍼)によって、より良い効果を得られることが知られていた。

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それゆえ、中国では、刺鍼の刺激量に関する科学的な研究が古くから行われ、太い針を用いた方が明確な効果が出やすいことが常識となり、中医は好んで太い針を用いるようになったようだ。

 

1960年代には、ツボ(穴位)刺激をより長く持続させる新たな方法が模索され、注射器を改良した特殊な針を用いて、羊肠线(羊の腸から取り出した線状組織)をツボへ埋め込む刺鍼法が考案された。

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この治療法は中医埋线疗法(中医埋線療法)と呼ばれ、1990年代にはほぼ成熟した治療法として認知され、現在でも様々な疾患の治療に利用されている。ただし、中医埋线疗法は、患者によってはアレルギー症状を起こすことがあるため、万人に適した治療法ではない。

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中医埋线疗法の主な効果は、長さ1cmに加工した羊肠线を特殊な筒型の針でツボに挿入することによる、局所的な無菌性炎症によって得られる。つまり、羊肠线が体内に吸収される2週間ほどの間、狙ったツボに局所的な炎症を起こし、その経絡が関係する部位に刺激を与え続けるため、症状の好転を促すことが可能になる。

 

このような作用は、古くから行われている灸療法や、現代的な灸療法であり、膏药の1種である艾草三伏贴によって誘発される、蛋白変性作用や炎症作用と同類と言える。

 

しかしながら、刺鍼時に得気のある部位で羊肠线を留めることを鑑みれば、針灸双方の作用を融合させた、中医独自の治療法であるとも言える。

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ちなみに日本では、中医埋线疗法は医師法に抵触する可能性が高いため、鍼灸師は施術できない。もちろん、医師免許があれば施術は可能かもしれないが、医療産業の闇が多分に濃厚な日本においては、鍼灸治療は無意味であると根拠なく洗脳されている人々が大半を占めているようだから、中医埋线疗法自体に興味を示す医師も患者も、もはや存在すらしないかもしれない。

 

中国では2015年頃まで、太い針を一定時間(20~30分間)留針しておく施術が一般的であった。確かに、筋结(“肝”の異常によって起こる局所的な炎症・浮腫・硬結)に対する施術としては、『黄帝内経』に記されている、古九针(古代九鍼)の1種である“员利针”や “锋针(三棱针)”を用いて速抜する方法もあるが、一般的には太めの毫針を用いる中医が多いようだ。

 

ちなみに、日本鍼灸では通常、炎症を起こした部位への刺鍼は禁忌とされているが、中医は医学的なエビデンスに基づき、筋结による炎症であれば、むしろ刺鍼した方が良い結果が得られることを知っている。

 

実際に当院でも、局所的な炎症に起因する疼痛であれば、適切な種類の針と刺鍼法を用いることによって、炎症物質を即座に拡散させ、瞬時に痛みを取り除くことができる。

 

近年、中国では針の加工技術が飛躍的に進化し、様々な針が開発されている。そのため、現在の中医業界では、最新の刺鍼法であれば、留針せずとも、瞬時にコリや痛みを除くことができるのは常識である。

 

これまで、留針によって起こる、独特の波打つような強い響きや、低血糖や迷走神経反射に伴う脳貧血やめまい、頭痛、吐き気、施術後しばらく続く重だるさなどが、鍼灸治療における最大のデメリットであった。

 

しかしながら、最新の針を用いることによって、現在ではこれらのデメリットを最小限に抑え、最大限の効果を引き出すことが可能になった。

 

また、施術時間の大幅な短縮によって、患者の針治療に対する精神的苦痛や、施術時に起こるやもしれぬ地震への恐怖感を減少させることも可能となった。

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もちろん、効果的に刺鍼する場合は得気(“酸、麻、重、胀”)を起こすことが不可欠であるから、100%無痛で刺鍼する、というのは土台無理な話である。

 

そうは言っても、多少の痛みは伴うけれども、どこへ行っても難治だと言われたコリや痛みが、数分の刺鍼で劇的に改善するのであれば、今後多くの患者が施術を希望するようになるだろうと思う。

 

 

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